HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

ミンコフスキーの4次元世界

1.導入

 ヘルマン・ミンコフスキーはアインシュタインの特殊相対性理論に対してミンコフスキー空間と呼ばれる4次元的表示法を考案した。彼は1909年1月12日に45歳で早世しますが、それまでに特殊相対性理論に関係して三つの講演・著述を残した。 

  1. 1907年11月5日にゲッチンゲンの数学会で行った講演「相対性原理」。
     これは彼の没後、1915年に相対性理論誕生10年を記念してSommerfeldの骨折りで出版された。
    H.Minkowski,“Die Relativita¨tsprinzip”, Annalen der Physik, 47, S.927〜938, 1915年
     これは参考文献1に日本語訳6.がある。
  2. 1907年12月21日にゲッチンゲン科学会で行われた講義の記録です。この中で電気力学の4次元定式化が論じられている。
    H.Minkowski,“Die Grundgleichungen fu¨r die elektromagnetischen Vorga¨nge in bewegter Ko¨rpern”, Nachrichten der K. Gesellschaft der Wissinschaften zu Go¨ttingen. Mathematisch-physikalische Klasse., S.53〜111, 1908年
     これは相対論の4次元化を論じるとき基礎となった重要な論文なのですが、頁数が多いので日本語訳がありません。そのため、英訳版を別稿にて引用。ドイツ語版はWikisoure.orgにありますので検索サイトで探してみてください。そこでGoogle Chromeの翻訳機能を使えば日本訳表示可能です。
  3. 1908年9月21日にKo¨lnのドイツ自然科学者医師大会で行った講演「空間と時間」
     これは以下の雑誌にも掲載された。
    H.Minkowski,“Raum und Zeit”, Physikalische Qeitschrift, 10, S.104〜111, 1909年
    H.Minkowski,“Raum und Zeit”, Jahrebericht der Deutschen Mathematiker-Vereinigung, 18, S.75〜88, 1909年
     これは、ミンコフスキーの遺作の中で最も有名なものです。参考文献1に日本語訳7.がある。

 文献2と3.は、1911年にD.Hilbertが編集したミンコフスキーの論文集にも収録されている。この論文集は友であるHilbertがミンコフスキーの早世を惜しんで編纂したものです。
 また文献3.は1913年にA.SommerfeldとO.Blumenthalが編集した相対性理論の論文集にも収録されている。

 これらの論文は極めて難解です。そのため、最初に別稿で引用するBorn「相対性理論」第Y章をお読み下さい。その後で本稿をご覧になり、最後にミンコフスキーの論文をお読みになるのが宜しいかと思います。

 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

2.二次元時空

 この章は文献2第2章§6“ミンコフスキーの4次元世界”(p47〜57)からの引用です。ただし、少し改変しています。また節題は当方が適当に追記した。

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(1)特殊ローレンツ変換と世界距離

下記の§4は別項「アインシュタインの特殊相対性理論(1905年)」2.(5)で引用済み。



この事の証明は別稿2.(8)4.を復習されたし。



 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(2)二次元時空における世界点・世界線と“尺度曲線”

[補足説明1]
 ここは解りにくい所なので補足する。まず上式を変形すると

となり、これをグラフにすると下図の様な直角双曲線になる。
 しかしこの式のままでは解りにくいので、下図の様に直交する光の世界線OEOHを取る。これは丁度XU軸を45°回転したものだから、その回転角をθとすると下記の様な(x,u)と(e,h)の変換公式が得られる。これを用いると

 このときA点2eh=1を満足する点だから、eとh=1/2eを変換公式に代入して計算すると2−u2

となる。つまり図の双曲線上の点Aは常にx2−u2=1を満足する点なのです。
 このとき同様にして2−u2=22、x2−u2=32、x2−u2=42,・・・・を満足する双曲線が描けるが、これらの双曲線群がミンコフスキー時空の座標の長さを定める尺度曲線なのです。もちろんこれらの曲線は2eh=22、2eh=32、2eh=42、・・・・を満足する双曲線です。
 そしてこれらの尺度曲線に依って座標値を定めることが、以下に説明されている2−u2を用いて計量するということの意味です。


[補足説明2]
 上記の結論は以下の事を意味している。

 上記の様に光の世界線に対して共役に取った座標軸UX、U’X’、U”X”、・・・は、x2−u2=x’2−u’2=x”2−u”2=・・・を計量として用いると互いに垂直な座標軸であり、任意の事象の時空値を測定する座標系となる。
 そして、後で解るようにこれらの座標軸で測った座標値はローレンツ変換で結び付けられている。


 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(3)ローレンツ変換


 ここで上記の“等角をなす”について補足する。別稿「ローレンツ変換とは何か」3.(4)で注意したように、この事は光の世界線直交している場合のみ言えることで、もし光の世界線を直交するように設定していなかったら等角にはならない。

[補足説明1]
 ローレンツ変換を用いると

が常に成り立つ。そのためx’2−u’2=0なら当然2−u2=0が成り立つ。


 すでに注意したように、この事は光の世界線直交している場合のみ言えることで、もし光の世界線を直交するように設定していなかったら等角にはならない。

 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(4)時間の相対性と因果律




 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(5)座標値の変換(“尺度曲線”



 ここはミンコフスキー座標の解釈で最も重要なところであると同時に最も解りにくいところです。
 ここでは、A’とB’という特殊な点しか確認していないが、K系とK’系で同じ事象を示すもっと一般的な点PについてK系での座標値とK’系での座標値がローレンツ変換によってどのように結び付けられているかを確認する必要がある。
 この点については別項江沢文献の2.4.1が解りやすいので参照されたし。そこをご覧になれば解るように、図中の双曲線は、それと各座標軸の交点が同じ座標値であることを示す単なる補助線(“尺度曲線”)以上の意味はない


 これらの式は、別項江沢文献の2.4.1で求めた式(2.4.2)にx’=1を、あるいは(2.4.1)式にct’=u’=1を代入したものと同じであることに注意されたし。

[補足説明1]
 後で示される第35図について補足する。

 上左図に於いて、直角双曲線の性質より四角形OhAe四角形Oh’A’e’面積は等しいことが言えます。この事は、OE軸とOH軸が直角ではない双曲線に付いても成り立つことが証明できます。例えばこの図の上で考えてみて下さい。
 次に上図右の平行四辺形OxCu平行四辺形Ox’C’u’の面積が等しいことも言えます。なぜなら平行四辺形OxCuの面積は四角形OhAeの面積の2倍であり、平行四辺形Ox’C’u’の面積は四角形Oh’A’e’の面積の2倍だからです。このことは、ABA’B’が双曲線上の点だから対角線AB→対角線A’B’の縮小率の逆数で対角線OC→対角線OC’を拡大していることからも明らかです。つまり、、平行四辺形OxCuから平行四辺形Ox’C’u’への変形はその面積が等しくなるように生じる
 このことが尺度曲線上のOAの長さOA’の長さが等しく、OBの長さOB’の長さが等しいことの意味です。また、それらの値を用いて得られる距離/時間=OA/OB=OA’/OB’=(光速度)常に同じ値になる“光速不変の原理”を示す)ことの意味です。


 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(6)長さの縮み




ここは別稿江沢文献2.4.2(p61)も参照されたし。

 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(7)時計の遅れ





ここは別稿江沢文献2.4.2(p62)も参照されたし。

 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

3.テンソル代数学

この章は文献2第3章からの引用です。ただし、少し改変しています。また項題目は当方が適当に追記した。

)指標記号、総和に関する規約、座標の変換

1.指標記号





2.総和に関する規約



3.座標の変換


 行列式については、別稿で引用した行列式の導入行列式行列式の性質余因数Cramerの公式行列式の積を復習されたし。ここはCramerの公式をご覧下さい。

ここは1行目に関して余因数展開するれば確認できる。それを実行すると

となる。

ここは、行列式の性質の定理7より明らか。ただしそこではで表しているときに注意。

ここは余因数の定理10をご覧下さい。



 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(2)スカラー、ベクトル、テンソル





 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(3)テンソルの加法・減法・乗法および縮約




 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(4)テンソルの商法則



 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(5)相対テンソル




 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(6)基本テンソル



 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(7)随伴テンソル



 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(8)双対テンソル



 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(9)テンソルの微分・勾配・発散・回転




 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

4.テンソル代数学の特殊相対性理論への応用

この章は文献2第4章からの引用です。

)相対論的運動学

 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(2)電磁方程式のテンソル方程式化

 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

(3)相対論的力学

 

HOME  導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献

5.参考文献

 

  1. 物理学史研究会編「物理学古典論文叢書4 相対論」東海大学出版会(1969年刊)
    6.Minkowski「相対性原理」、7.Minkowski「空間と時間」
  2. H.Minkowski,
    “Die Grundgleichungen fu¨r die elektromagnetischen Vorga¨nge in bewegter Ko¨rpern”,
    Nachrichten der K. Gesellschaft der Wissinschaften zu Go¨ttingen. Mathematisch-physikalische Klasse., S.53〜111, 1908年 英語訳を別稿にて引用
  3. 矢野健太郎著「近代数学新書 相対性理論」至文堂(1967年刊)第2章§6
  4. M.Born、W.Biem著(瀬谷正男訳)「アインシュタインの相対性原理」講談社(1971年刊)Gauss単位系
     原本は1964年に発刊。1920年発刊の初版の改訂版です。特にY章はミンコフスキーの4次元世界の考え方を大幅に取り入れており、本稿の導入として有益です。第V章第W章§7〜11第X章第Y章を別稿で引用。
  5. メラー著「相対性理論」みすず書房(1951年刊)
  6.  
  7.  
HOME  1.導入  2.二次元時空)()()()()()()  3.テンソル代数)()()()()()()()()  4.特殊相対4次元)()()  5.文献