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余因子行列と逆行列の関係

 解りやすくする為に3行3列の行列で考えますが、一般のn行n列についても同様にして証明できます。この性質の説明はネット上に沢山在りますので、それらも参照されてください。

.余因子行列ともとの行列の積

)余因子行列

(3×3)行列

(i,j)成分の“余因数”(余因子)(j.i)成分[(i,j)成分ではなくその転置の位置]として並べた行列

行列A“余因子行列”と言といいで表す。
 行列Aの(i,j)成分の余因数(余因子)とは行列Aからi行とj列の成分を除いた成分からできる小行列式に(−1)i+jを乗じたものです。詳細はこちらの説明を参照されたし。

 

)余因子行列ともとの行列の積

 余因子行列と元の行列の積を計算すると次の関係式が得られる。下記で利用する余因数展開と、行列式の積の性質については別ページを参照。





 この証明をご覧になれば、なぜ(i,j)成分の“余因数”(余因子)(j.i)成分[(i,j)成分ではなくその転置の位置]として並べた行列をもって“余因子行列”としたかが了解していただけると思います。

 

)余因子行列をもとの行列の行列式で割ったものは元の行列の逆行列

 前節の結論から

となる。
 すなわち、“行列Aの余因子行列をAの行列式|A|で割ったものは行列Aの逆行列となる。”もう少し詳しく言うと、“行列Aの逆行列の(i,j)成分は、行列Aの(j,i)成分[(i,j)成分ではない]の余因数(余因子)を行列式|A|で割ったもの”です。

補足説明
 ここで注意して欲しいことは、行列A“対称行列”の場合には、行列Aの(i,j)成分の余因数(余因子)は(j,i)成分の余因数(余因子)と一致します。そのため対称行列Aの逆行列の(i,j)成分は行列Aの(i,j)成分の余因数(よ因子)を行列式|A|で割ったものになります。
 このことは、一般相対性理論で重要な“基本計量共変テンソル”ijが対称行列なので、その“逆行列”である“基本計量反変テンソル”ijを求めるときに適用できます
 多くの文献ではijが対称行列だからそのようにできることを強調していませんので注意して下さい。

 

)一般相対性理論での応用

 余因子行列を用いれば、任意行列の逆行列の成分を簡単に求めることができます。

 一般的な“斜交曲線座標系”における“基本計量共変テンソル”ij“基本計量反変テンソル”ij互いに逆行列の関係にあります。そのため基本計量共変テンソルgij が解っている場合には、その逆行列である基本計量反変テンソルgij の(i,j)成分は

となる。ただし ij は行列[gij]に対する“余因子行列”の(i,j)成分を意味しており、行列[gij]の(i,j)成分の“余因子”(余因数)ではありません。 ij の実体は行列[gij]の(j,i)成分“余因子”(余因数)です。
 詳細については別稿「テンソル解析学(絶対微分学)」6.(2)4.[補足説明]を参照。そのとき、計量テンソルは対称行列ですから、もとの行列と余因子行列の(i,j)成分の転置関係については曖昧なままにしている文献も多いので、本稿をしっかりご理解の上でお読みください。

 

.余因子行列の行列式

 n×nの行列Aの余因子行列の行列式

である。
 証明は下記の通り。

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