ランダウ、リフシッツ著「場の古典論(増訂新版)」東京図書(1964年刊)1章“相対性理論”§1〜§7(p1〜25)より引用。
ランダウはアインシュタインも斯くあったであろうと推測される哲学的考察を根拠にして、一気に特殊相対性理論の導入を果たしている。この解説は秀逸です。
第1章 相対性理論
§001.相互作用の伝播速度
§002.世界間隔
§003.固有時間
§004.ローレンツ変換
§005.速度の変換
§006.4元ベクトル
§007.4次元的な速度と加速度
第2章 相対論的力学
§008.最小作用の原理
§009.エネルギーと運動量
§010.分配函数の変換
§011.粒子の崩壊
§012.有功断面積の変換
§013.弾性衝突
§014.角運動量
第4章 場の方程式
これは、アインシュタインが最初に示した有名な“思考実験”ですが、これを正しく理解するのは極めて難しい。それは上記のA点から左右に進む同じ光の速度がK系で測定しても、K’系で測定しても同じ値cであることの意味を正しく理解しなければならないからです。詳しくはEinsteinの1905年論文の§3.をご覧下さい。
[重要な結論]
ここは何を言っているのか解りにくいので補足する。
要するに、時空座標上で二つの事象点1と2を結ぶ直線を考えたときに、その直線の勾配が光の世界線の勾配よりも大きければ、その2つの事象が同一空間点で異なった時刻に生じたことになるような慣性座標系が存在し、その座標系での2つの事象は同一点に於ける時間間隔(つまり固有時)になると言うことです。
また後半は、時空座標上で二つの事象点1と2を結ぶ直線を考えたときに、その直線の勾配が光の世界線の勾配よりも小さければ、その2つの事象が同一時刻に生じたことになるような慣性座標系が存在し、その座標系での2つの事象は同一時刻に於ける距離間隔(つまり固有長)になると言うことです。
そうして得られる、時間間隔と距離間隔はいわゆる“固有時”と“固有長”を表しており、座標座標系の取り方によらない不変量(絶対的な量)となる。 この当たりについては、別稿「双子のパラドックスと一般相対性理論」2.(2)[補足説明1]と、2.(2.)[補足説明4]をご覧下さい。あるいは、別稿「ミンコフスキーの4次元世界」2.(4)をご覧下さい。これは次に説明されている事と同じです。
“固有時”については別項「双子のパラドックスと一般相対性理論」2.、特に2.(2)[補足説明1]と2.(3)をご覧下さい。
事象間の世界間隔の不変性は、すでに述べたように光速度一定の数学的表現であったことを思い出されたし。
“固有長さ”については別項「双子のパラドックスと一般相対性理論」2.(2)[補足説明3][補足説明4]をご覧下さい。
虚数を用いなくても4元ベクトルは定義できる。2乗Ai2 が正にも負にもなりうることは、もともとのスカラー積の定義 x2+y2+z2−c2t2 から来るとであって、虚数定義から来ることではない。
もちろんもっと任意の座標変換にたいしては(aik)は異なったものになる。
要素が1,2,3,4からなる順列組合集合の数は 4×3×2×1=4!
[補足説明]
普通の教科書と違ってディメンションなしの量になっているのは、普通の教科書では
で微分しているのに対して、本稿では
で微分しているからです。 vi と分母のcが次元的に打ち消し合う。このとき第4成分 v4 も次元が同じ(つまり次元無し)にしてあります。
ここで、 ui 定義中の v と下記ローレンツ変換式中の V との違いについては、1章§4の注1)の取り決めに従っている事を忘れないで下さい。
4元速度については別稿「4元速度(4元運動量4元電流密度)、4元加速度と4元力」2.をご覧下さい。
ここは別稿「双子のパラドックスと一般相対性理論」3.(1)に於いて解りやすく説明していますのでご覧下さい。