藤井保憲著「時空と重力」産業図書(1979年刊)より引用。リーマン曲率テンソルの定義は別稿「テンソル解析学(絶対微分学)」6.(5)1.[補足説明]の(A)の場合です。
§2“波動方程式の共変性”、§4“時空概念”、§5“固有時”、§15“接続の意味”、
§18“4次元Riemann空間”、§19“測地運動方程式”、§20“重力場方程式”
同じ著者の「平凡社世界百科事典」の項目“相対性理論”もどうぞご覧下さい。
[補足説明]
上記独立成分の個数について補足する。
まず、“計量テンソル”gμνは4×4の対称テンソルだから独立成分が4×(4+1)÷2=10個である事は明らかです。
次に、Γλμνの4×4×4=64個の成分で独立なものが40個であることは“クリストッフェル記号”の定義
より解る。まずμとνに対して独立なものは、添字μとνの入れ替えに関して対称だから0〜4の4個の数字から2個を選ぶ組み合わせの数である6組に、μとνが同じ 00、11、,22、33 の4組を合わせた10組がある。これは、4行4列行列の着色セル数の計算式4×(4+1)÷2=10個でも計算できる。μとνに対するこの10個の組み合わせに、λ添字の4種を乗じた10×4=40個が独立成分の数です。
最後に、“リーマン曲率テンソル”
ですが、この対称性は、これに基本計量共変テンソルgijを乗じて縮約し4階共変テンソルにした
と同じだから、このRρσ,μνの4×4×4×4=256個の成分内で独立なものが20個であることを示す。
その為にはリーマン曲率テンソルについて成り立つ性質
と
(藤井1979年p120、内山1978年p86)
を利用する。これらの式については別稿3.(5)[問題2]や別稿6.(6)1.などを参照。
(17-18)式の最初の二つの関係式から、 Rρσμν≠0 の独立成分は(ρ,σ)として(0,1),(0,2),(0,3),(1,2),(1,3),(2,3)の6個の添字の組と、(μ,ν)についても同じく言える6個の添字の組がある。この6という数は4×4反対称行列の独立要素の計算式4×(4+1)÷2-4=4×(4-1)÷2=6による。
ここで、添字対(ρ,σ)をAで添字対(μ,ν)をB表し、(ρ,σ)=(0,1)→A=1,(ρ,σ)=(0,2)→A=2,(ρ,σ)=(0,3)→A=3,(ρ,σ)=(1,2)→A=4,(ρ,σ)=(1,3)→A=5,(ρ,σ)=(2,3)→A=6
および、(μ,ν)=(0,1)→B=1,(μ,ν)=(0,2)→B=2,(μ,ν)=(0,3)→B=3,(μ,ν)=(1,2)→B=4,(μ,ν)=(1,3)→B=5,(μ,ν)=(2,3)→B=6
とすると
Rρσμν→RAB (A,B=1,2,・・・,6)
の様に書き換えることができる。
従って、Rρσμν≠0 の独立な成分だけを集めると 6×6行列RAB となるが、この行列は(17−18)式の最後の関係式によって
RAB=RBA
となる。すなわち RAB は対称行列となるので独立な要素は6×(6+1)÷2=21となる。
ところで、これらの成分の間にはさらに(17-19)式が成り立つ。(17-19)式が何個の独立な関係式を与えるかを数えてみる。そのために(17-19)式の左辺を Fρσμν で表してみる。 Fρσμν には4個の添字ρσμνがあるが、この中の任意の二つの入れ替えに対して Fρσμν は符号を変えることが(17−18)式によって確認できる。例えばFρσμν のσとμを交換してみると
となる。他の交換についても同様。
つまり、Fρσμνは完全反対称テンソルとなるので 0 でない成分はただの1個=4×(4-1)(4-2)(4-3)÷4!=4×3×2×1÷(4×3×2×1) だけです。つまり(17-19)式の独立な条件式はただ1つです。(完全反対称テンソルについてはこちらを参照)
このことから、最終的に Rρσμν の 0 でない独立成分の数は21−1=20個となります。
一般のn次元の場合は平川文献4.(8)、別ページで引用するWeinberg文献や、別稿「対称テンソルと反対称テンソルの独立成分の数」3.をご覧下さい。
§2“波動方程式の共変性”、§4“時空概念”、§5“固有時”、§15“接続の意味”、
§18“4次元Riemann空間”、§19“測地運動方程式”、§20“重力場方程式”
Einsteinが“測地運動方程式”を導くのは1914年10月論文に於いてです。このことはPaisの12c.の説明もご覧下さい。
上記“Newton近似”については、中野文献§9-4.p192、矢野文献7.(2)、別稿で引用[W8]されているWeinbergの説明も参照されたし。また、別稿「運動方程式のローレンツ変換不変性」3.(1)2.の[補足説明]を参照されたし。また、別稿内山龍雄「相対性理論」§19の測地線方程式の導き方と比較してみられたし。
次に続く“重力赤方偏位”のページ(p131〜135)は省略・・・・・・
4-20
§2“波動方程式の共変性”、§4“時空概念”、§5“固有時”、§15“接続の意味”、
§18“4次元Riemann空間”、§19“測地運動方程式”、§20“重力場方程式”
上記(20-10)については別稿「ミンコフスキーの4次元世界」4.(2)を参照。
また、これらのミンコフスキー時空におけるテンソル方程式は、そのままアインシュタイン時空におけるテンソル方程式に書き改める事ができます。そのことに付いては別稿「テンソル解析学の一般相対性理論への応用」7.(6)を参照。実際アインシュタインはかなり早い段階(1913年のグロスマンとの共著論文)で、そのことをすでに成し遂げています(Pais文献p288を参照)。
上記のことに関しては、インフェルト著「アインシュタインの世界」p88〜90の説明と、別稿「運動方程式のローレンツ変換不変性」3.をご覧下さい。
最後に得られた(20-29)式に関して別稿「運動方程式のローレンツ変換不変性」3.(1)2.の[補足説明]を参照されたし。
上記注†)は別に難しい事を言っているわけでは無くで、別稿の[補足説明1]で注意したボルンの見積計算やファインマンの説明の事です。