アインシュタインの光量子説第3論文(1907年)を紹介します。これは量子論による比熱の説明としても有名です。
以下の訳文は文献1.より引用した。左欄に記入の数字は原論文のページ数です。
ただし、三セクションへの分割とセクション題目は、参照しやすい様に当方が適当に追記したものです。さらに、誤植を訂正し、解りやすくする為に少し改変しています。元の表現はこちらでご確認下さい。
上記文献1)は 光量子論(1905年) と 光量子論(1906年) です。
[補足説明1]
上記文献1)は英訳版を別稿で引用していますので参照されて下さい。また江沢文献6.「統計力学へのアインシュタインの寄与」もご覧下さい。
[補足説明2]
上記のプランク著書は、「熱輻射論(1906年初版本)」(物理科学の古典7)東海大学出版会(19075年刊)として邦訳本があります。ところで、この邦訳本は長い間絶版状態でしたが、2021年6月に、「熱輻射論講義」(岩波文庫)として再版されています。
この本(特に初版本)は、アインシュタインの特殊相対性理論(1905年)原論文と並んで、一度は読んで見るべき本だと思います。
[補足説明3]
広重文献15-3.“光量子と比熱”の前半部 と、9-4.“アンサンブルの理論” とで説明されている様に、アインシュタインはGibbsの正準分布理論に相当するものを独自に開発して、その統計理論を用いてエネルギー平均値を求めています。その統計理論に対するアインシュタインの説明が十分では無いので、ここの計算過程は非常に解りにくい。
ここの議論を理解するにはファインマン物理学U.の16-2.“輻射の熱平衡”、16-3.“エネルギーの均等分配と量子振動体” や 別稿「統計力学」2.(5)2.[補足説明2]などをご覧下さい。その時、別稿江沢文献6.「統計力学へのアインシュタインの寄与」p120_121などもご覧下さい。
[補足説明4]
以下で、固体比熱の異常性に関係する2つの疑問が挙げられ、それに対するEinsteinの解答が展開されています。
ただし、ここの説明はかなり解りにくいと思いますので、江沢文献「統計力学へのアインシュシタインの寄与」p126〜127を参照されてから以下の文章をお読み下さい。
江沢文献にも書かれているように、異常性2.の真の解決はフェルミ・ディラック統計の知識が必要です。そのことに付いては、別稿「統計力学の基本的な応用例」3.(4)[例5]などを参照されたし。