上記の電場、磁場の変換式の導入も唐突ですが、ここはEinsteinの1905年論文§6を御覧下さい。そこでEinsteinが示している手順しか、この導入の根拠を説明する方法はありません。
基本方程式（2）（3）式と（1）（4）式の対称性ですが、ここはなかなか難しい所です。
これは、電場と磁場は一緒になって2階テンソルを構成する事に関係しており、さらに（2）式と（3）式の係数行列は（1，1）階混合テンソル、（1）式と（4）式の係数行列は（0，2）階共変テンソルである事も関係してきます。
そのため、（2）式と（3）式はベクトル方程式を構成しますが、（1）式と（4）式は3階のテンソル方程式を構成します。見かけ上ベクトル方程式と見なすことができると言うだけです。ここはローレン時空における時間座標と空間座標の関係が、いわゆるユークリッド空間の直交座標の様なものでは無くて、リーマン空間の斜交座標の様なものであることに起因しており、計量テンソルが絡んでくる所です。
この当たりは「Maxwell方程式系の先見性と電磁ポテンシャル」の５．（２）と、５．（３）を御覧下さい。また、さらに別稿「ミンコフスキーの4次元世界」4.(2)を、特にそこの［補足説明３］と［補足説明４］を御覧下さい。
（1’）式が成り立つことは、クーロン場というのは別稿「二次元・非圧縮性・完全流体の力学」3.（2）3.の（ｂ）で説明したようなものであることに因ります。
また、以下の（3’）を満たすことの証明ですが、これは別稿「ポアソン方程式と波動方程式」1．の説明と同じです。
次節の電気力線、磁力線の様子については、別稿Purcell「電磁気学」§5.6 や、 §6.7 などを参照されながらお読みください。
前節、及び次節の内容に関しては別稿「電磁場の相対性と特殊相対性理論」と、別稿「電磁場の相対性と特殊相対性理論（補足説明）」を参照されながらお読みください。
電磁波の存在について下記の見方は重要です。
