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共振(共鳴)

 共振が起こるためには反射壁で囲まれた領域へ連続的に波が送り込まれねばならない。そして、そのとき両端での波の反射が本質的な役割を演じる。そこで最初に高校物理で習う波の反射を復習する。

1.パルス波の反射

(1)自由端での反射

 自由端では上下方向の力は働かない。そのため、もし弦の自由端に横方向の力を加えたら、弦はちょうど加えられただけの力を打ち消す様に動く。そして力は必ず零になり、反射端は水平のままである。そのようになるためには入射波に重ね合わさる反射波は入射波の上下はそのままで、左右をひっくり返したものが反射されたと考えなければならない。

(2)固定端での反射

 固定端では上方向の変位は零である。そのためには、反射波は入射波の左右をひっくり返して、上下をひっくり返したものと考えなければならない。そのような反射波が入射波と重ね合わさって初めて固定端での変位零が実現できる。

(3)両端が反射壁で囲まれた場合

 両端が反射壁で囲まれた場合の反射の様子を知るには、下図の様な入射波と反射波を作って重ね合わせればよい。以下でMax Planck著「理論物理学汎論 第2巻 変形する物体の力学」37節の説明を利用する。

(イ)固定端−固定端

 両端で繰り返し反射する波の様子を表すためには波形を長さ2l の単位で左右にコピーを繰り返した波αを左方向に、またαとはx=0の原点に対して点対称(左右にひっくり返して、さらに上下にひっくり返す)の波βを右方向へ波の伝播速度で移動させて、すれちがわせばよい。そして0≦x≦lの間について重ね合わせれば、それが求める解である。

(ロ)自由端−自由端

 この場合は両端が自由端反射になるので、波βは波αをx=0で左右にひっくり返した形にすればよい。波αを左方へ、波βを右方向へ移動させて、0≦x≦lの間について重ね合わせればよい。

(ハ)固定端−自由端

 この場合は固定端と自由端なので、波αを作るとき、長さ2l の単位で左右にコピーを繰り返すとき、上下もひっくり返しながらコピーすればよい。そして波βはx=0の原点で点対称になるような形にすればよい。波αを左方向へ、波βを右方向へ移動させて、0≦x≦lの間について重ね合わせればそれが求める解である。

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2.連続波の反射と共振

(1)一般的な説明

 波はほっておくと、どんどん伝播して逃げてしまう。だから共振が起こるためには、生じた波を囲っておかねばらならい。それには両端が波を反射する性質を持たなければならない。それと同時に、共振が起こるためには、波を連続的に供給する機構が必要である。

 波が連続的に供給される場合、重ね合わせる波をどの様に作ったらよいだろうか。前節(イ)固定端−固定端 の場合を例に取って説明する。前節(イ)の場合と異なって、こんどは周期2lで転写すべき波の長さが時間と供にいくらでも長くなる。それらをすべて重ね合わせた左へ進行する波αと、同じく右に進む転写波をすべて重ね合わせた波βを0〜lの区間で重ね合わせたものが区間0〜lで実際に生じる波である。

 αとβの波を重ね合わせて見れば解ることであるが、媒質の長さ l が波長λの半整数倍(半波長の整数倍のこと)の場合のみすべての反射波は互いに強め合い媒質が大きく振動する。これを共振(共鳴)現象という。それ以外の場合は互いに打ち消しあってしまい、振動は消えてしまう。

(2)いくつかの例

(イ)固定端−固定端

次の例では送り込まれた波が反射を繰り返す内にお互いで打ち消しあってしまって共振は起こらない。

次の例でも共振は起こらない。

(ロ)自由端−自由端

(ハ)固定端−自由端

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3.共振条件

 反射端で囲まれた長さ l の媒質中に送り込まれる進行波の波長を λ とすると、前項2.(1)(2)を検討すれば解るように、lとλが以下の関係を満たすときのみ共振がおこって定常波が生じ媒質は大きく振動する。

(イ)固定端−固定端

(ロ)自由端−自由端

(ハ)固定端−自由端

 これらの公式を覚えるには、まず固定端は節、自由端は腹になる定常波の形を図で覚える。次に(イ)(ロ)の場合、媒質の長さ l が[進行波の半波長]の[整数倍]で共振し、(ハ)の場合、長さ l が[進行波の半波長]の[半整数倍]で共振する事を図から読み取る。それさえ解れば、後は v=λ/T=fλ の関係式を用いて l と v、f、T との関係式を導くことができる。

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4.共振条件と伝播速度、振動周期

進行波の波長をλ、伝播速度をv、振動周期をT、振動数をfとすると

の関係式が成り立つ。これは高校物理で習う“波で最も重要な関係式”である。

 この式の中で波の伝播速度 v は媒質の状況・性質により決まる。例えば

  1. ウェーブマシン 高校物理の演示実験で使う、すだれを横にしたようなお馴染みの実験装置である。この波の伝播速度は、波の媒質(すだれ)の単位長さ当たりのねじれの弾性定数τ単位長さ当たりのすだれの慣性モーメントIの比の平方根になる。
  2. 気体中の音速(気柱の共鳴) 気体の体積弾性率κ気体の密度ρの比の平方根になる。「音速の理論」参照
  3. 弦を伝わる波(弦の共振・共鳴) 弦の張力T弦の単位長さ当たりの質量(線密度)μの比の平方根になる。
  4. 電線を伝わる電磁波 単位長さ当たりの電線間の電気容量の逆数1/C電線の単位長さ当たりのインダクタンスLの比の平方根になる。
  5. 長波(潮汐波や津波) 重力加速度g水深hの積の平方根になる。

これらの公式の導出は別稿「波動方程式と一般解」を参照されたし。

 伝播速度vが物理的状況により決まれば、3.(イ)(ロ)(ハ)の共振条件を満足する波長λの波を送り出す振動機構の振動周期Tは、T=λ/v から求まる。

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5.共振の例

(1)長崎湾の「あびき」

 奥まった細長い湾は長波の侵入に伴い、その固有振動数で振動する。特に長崎湾は有名で、長崎地方の方言で「あびき」という。長波とは波長λが水深hより遙かに長い波のことで別稿「波動方程式と一般解」2.(4)長波 で説明。その伝播速度は

で表される。長崎湾の平均水深は約20mであるから、長波は v=(9.8×20)1/2=14m/s 程度で湾内を進行する。新聞記事や長崎海洋気象台の報告によると共振の振動周期は約34分程度である。長崎湾の形は以下の模式図のようなもので近似できる。(A)タイプの共振と(B)タイプの共振(湾口が節で湾奥が腹)が考えられる。共振条件からそれぞれの基本振動の周期を求めてみる。(A)タイプは約19分、(B)タイプは約33分になるので、おそらく「あびき」は(B)タイプの振動が主になると思われる。

(2)ファンディ湾の潮汐

 カナダのノヴァ・スコシアにあるファンディ湾では潮位差が世界で最も大きい。非常に大きい潮位差を利用して、干潮のときに大きな網を立て、満潮の間にかかった魚を、次の干潮のときに拾い集める漁法もあるくらいです。
 湾の入口での潮位差はあまり大きくなく、大潮のときでも3mしかないが、湾内のセントジョンでは潮位差は7〜8mになり、最も奥のジグネストの入江では14mに、またマイナス入江では最も大きく、15mにも達する。風があると潮位差はさらに2mほど大きくなる。

 ファンディ湾の平均水深は約50mである。奥行きを約250kmと見なして基本振動の周期を求めてみる。潮汐波は(1)長崎湾の「あびき」の場合と同様に長波とみなせるので、その伝播速度vは 

 かなりおおざっぱな計算で得たT=12.6時間だか、潮汐の周期12.42時間に近い。そのために共振が起こり大きな潮位差を生じるのであろう。潮汐の生じるメカニズムについては「潮汐力について」を参照。

(3)ゾイデル海(オランダ)の大堤防と定常波

 オランダ政府はゾイデル海の周辺の干拓を進めるに当たって、干拓地を北海から襲ってくる高潮から守るために、ゾイデル海の入口を長さ30kmの長大なダムでふさぐぐ大計画を立てた。しかしゾイデル海の入口をふさぐとワッデン諸島とダムの間にはさまれた部分の潮汐が大きくなり、ワッデン海沿岸の堤防は更に高いものにしなければならない。これをどれくらいに見積もるべきか苦慮した。
 そこでオランダ政府は高名な物理学者 H.A.Lorentz を委員長とする委員会を1918年に作り、その調査研究を行う事になった。8年間にわたる調査と研究を重ねた結果得られたものは、ゾイデル海を仕切るとワッデン海の干満の振幅が約2倍になり、ワッデン諸島の島々の透き間の流量がダムを作ることによってかえって増すという意外なものであった。それはちょうど北海から流れ込む潮汐の波と、ダムによって反射された波が干渉して定常波があらわれ、ちょうどワッデン諸島の所で、その振幅は極小となり、流量が極大になることを意味していた。
 オランダ政府は、この報告を受けて1927年〜1932年、ついにこの大工事を完成させた。これは政治、科学、技術の最も美しい協力の例であり、また驚くほどみごとに成功した例である。この間の事情については
 朝永振一郎著 「ゾイデル海の水防とローレンツ」 中央公論社の雑誌「自然」(1960年1月号)
に詳しく紹介されている。昔読んで感銘深かったので、ここに全文を引用する。

(4)インチョン(仁川)の大潮差

 大韓民国の首都ソウルの玄関港インチョン(仁川)の大潮差も有名で、大潮の時には10mを越える。ここは朝鮮戦争の帰趨を決した仁川上陸作戦の舞台となった場所である。
 朝鮮戦争は1950年6月25日早朝、朝鮮人民軍の北緯38度線を越える侵攻作戦で始まった。最初の70日間は朝鮮人民軍の圧倒的優勢のうちに進展し、年6月28日の韓国の首都ソウル陥落後、国連・韓国軍は9月初めには大邱(テグ)、釜山(プサン)を含む半島南端の狭い一角に追い詰められた。そこで国連軍総司令官のマッカーサーは朝鮮人民軍の背後を突く、起死回生の仁川(じんせん=インチョン)上陸作戦を1950年9月15日に敢行した。

 仁川は上陸作戦にむかない地形である。潮の干満で干潮時には海岸から数キロもの泥土地帯が生まれ上陸できない。上陸できるのは大潮の数日間、しかも1日2回の満潮時の2〜3時間の間だけだ。また海岸線に浜辺がなく、防波堤か桟橋にハシゴで登るしか方法がなかった。その上陸の困難さゆえに意表をつく作戦だった。

 1950年9月15日早朝の月齢は3.7日(細長い三日月)で、大潮から中潮へ移行期の干満差があり、その日の満潮は早朝と夕刻であった。一般に潮汐現象は湾の形や潮汐波の伝播に関係するので、満潮時刻が月の方向と一致するとは限らない。別稿「動力学的潮汐理論におけるケルビン波」5.(2)2.月齢15日における“等潮時線”の仁川通過時刻(4時と16時頃)から考えると、月齢3.7日の場合早朝と夕刻に満潮となるのが解る。

 9月15日午前5時、国連軍は最初の上陸地点である月尾島(仁川港に隣接する小島)に艦砲射撃を開始し、この日の最初の満潮に乗じて6時31分に先発部隊が上陸を開始する。島内の抵抗は散発的で午前7時50分には掃討を完了する。そしてこの日の2回目の満潮に合わせて午後5時33分に主力部隊が上陸し、抵抗を排除しつつ真夜中には仁川の北部と南部で目標線に到達する。翌16日夕刻には仁川から10キロの円状に指定された海岸を確保した。

 この奇襲上陸作戦の成功により仁川、ソウルを奪還した国連・韓国軍は10月初めに38度線を突破し、同月19日平壌を占領、一部の部隊は鴨緑江(おうりょくこう)岸まで到達した。しかし10月25日、中国人民軍の大部隊が鴨緑江を越えて参戦し、朝鮮人民軍とともに反撃し、12月4日には平壌を奪回、翌51年1月4日ソウルを再占領した。その後、国連・韓国軍は3月14日ソウルを再奪回したが、38度線付近での戦闘は激烈を極め多くの人々が戦死し、戦線は膠着状態となる。そして53年7月27日、ようやく板門店(はんもんてん)での休戦協定調印となった。この休戦協定いらい南北朝鮮分断の悲劇は今日まで続いている。

(5)超高層ビルの振動

 超高層ビルの基本振動の周期は[建物の階数]×0.1秒程度で、例えば36階建て霞ヶ関ビルは T〜4秒程度である。ビルが建っている岩盤の固有振動周期(〜0.3秒程度)と、ビルの固有振動周期が一致しないようにビルを設計しなければならない。

 東京の下町の地盤は軟らかく固有振動周期は0.7〜1秒程度、山の手の地盤は固く0.3秒程度である。関東大震災(1923年)のとき下町では木造二階建て家屋(固有振動周期=0.7〜1秒程度)の倒壊が多く、土蔵の被害は少なかった。一方、山の手では土蔵(固有振動周期=0.3秒程度)の倒壊の被害が多く木造二階建ての被害は少なかった。これも共振が原因だ。(竹内均「地震の科学」日本放送出版協会P224より)

(6)地球大気の振動

 地球表面を一様に覆っている大気の潮汐運動も興味あるところである。実際に赤道地帯で大気の気圧変化を測定すると下記の様になる。

 この結果から解ることは、大気圧の振動は海の潮汐と異なり、日々の天候変化に伴う気圧変化(高気圧や低気圧の移動)がかなり影響する。しかし、それにもかかわらず、24時間周期と12時間周期の顕著な振動があることが読み取れる。
 さらに世界各地の同様な観測を比較してみると、その振幅は赤道付近で最大振幅を持ち、両極付近では消えてしまう。また振幅は経度方向にはほとんど変化しないことが解った。そしてさらに重要な事として、すべての地点で、最高気圧はそこの地方時の同じ時刻(午前9時30分頃と、午後9時30分頃)に起こっていることが解った。(下図参照)

 これは非常に不思議なことである。別稿「潮汐力」や「潮汐周期」で注意したように海洋の潮汐は12.42時間(約12時間25分)周期で起こる。それに対して大気の潮汐は正確に24時間あるいは12時間周期で起こるように見える。
 1800年の早い頃フランスの大数学者ラプラスもすでにこのことに気付いており、大気の潮汐は大気の太陽放射による加熱が大きな原因であり、太陽や月の引力によって起こるものではないと結論している。
 ところが、もしそうならばさらに新たな疑問が生じる。太陽放射が原因なら12時間周期よりも24時間周期が卓越するはずである。しかし観測結果は24時間周期よりも12時間周期の方が明らかに卓越している。これは大いなる疑問であったがケルビン卿はその理由を次のように説明した。
 「気圧の半日周期変化の原因は、太陽の重力による潮汐発生効果ではあり得ない。なぜかというと、もし重力によるとするならぱ、もっと大きな月の影響がでなければならないのに、実際は太陰日気圧変化は全然現われていないか、あるいはほとんど現われていない。だから、気圧の半日周期変化が温度によることは確実のように見える。ところが、気温の日変化の調和解析における一日周期の項は、疑いもなくすべての地点、あるいはほとんどすべての地点で、半日周期の項よりもはるかに大きい。ところが温度変化の気圧効果の半日周期の項の影響が、一日周期のものよりはるかに大きいということは、非常に顕著なことである。」・・・・・・・・・・・・・(大いなる矛盾)・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「このことの説明は、大気全体としての振動を、ラプラスのあの公式を使って考えることによって、多分見付けることができるであろう。そのラプラスの公式というのは、彼の著書『天体力学』の中で、海の潮汐に対して与え、それが大気の場合にも適用できるだろうと言ったものである。起潮力として重力による力のかわりに熱の影響で代用し、また熱的影響の一日周期、半日周期の項のそれぞれに対する振動の様式を調べれば、多分次の様なことが見出されるであろう。すなわち大気の自由由振動の周期は、半日周期の方に近いのであり、またそれだから、半日周期の方が、起潮力が割合小さいにもかかわらず、それがもとでおこる潮汐が大きいのである。」(エジソパラの王立協会の会長演説1882年)
Lord Kelvin(W. Thomson), “On the thermodynamic acceleration of the earht's rotation”, Proc. Roy. Soc. Edinb., Vol.11, p396〜405, 1882年 これはネットからダウンロードできます。また彼の論文集Vのp341〜350にもあり。

 つまり、大気自身が振動の固有周期を持っており、その周期は12時間に近い所にあり24時間からは外れている。そのため24時間周期の太陽加熱による強制振動が12時間周期の振動を増幅していると言うわけである。
 しかしながら、最近の知見によると、ケルビンの予想は間違っていたようです。高層大気まで含めた近年の正確な大気密度分布の観測から、固有振動が24時間周期よりも12時間周期に近いことを示す事実は無いことが判明した。どうやらケルビンが言うような単純な話では無いようです。
 廣田勇著「地球をめぐる風」中公新書(1983年刊)第9章に、1966年にこの謎を解明した加藤進やリンツェンの仕事が簡単に紹介されています。その説明によると12時間周期が卓越するのは大気重力波の垂直方向伝播の振動数依存性によるようです。太陽放射が成層圏オゾンを加熱したとき、半日潮のほうは大気を垂直に伝わることができて、大気の加熱が大気全層に伝わり、地上の気圧計ではっきりと観測される。これに対して一日潮のほうは垂直に伝わらない波動のために加熱がオゾン層にとどまり大気全体の重さとして見た地上気圧はそれほど変動しなかったのである。
 次の解説記事も参照されたし。
沢田龍吉著、“エネルギーの波動傳播における大気構造の役割”、「天気」1955年4月号
http://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1955/1955_04_0090.pdf
沢田龍吉著、“気圧の半日周期の現れる理由”、「天気」1975年6月号
http://www.metsoc.jp/tenki/pdf/1975/1975_06_0315.pdf
沢田龍吉著、「超高層空間の謎」講談社ブルーバックス(1979年刊)の13章参照。それ以外も面白い本です。

 1883年にクラカトア火山(インドネシア)が大爆発して島の半分が吹き飛ばされた。大気中でものすごい爆発が起こったので、大気の固有振動の周期を測定することができた。様々な振動周期のなかで、12時間に最も近い固有振動の周期は10.5時間であった。(ただし、これはトロポポーズの反射特性に因るためかもしれない。)

 この12時間周期の気圧変動は潮汐風を伴うはずである。地表付近ではそれは極端に小さくほとんど観測に掛からないかもしれないが、高層大気ではその変化は非常に大きなものでなければならないと考えられていた。1950年代になって大気高層の風速が実測できるようになって、このことが真実であることが確かめられた。高度100km付近の潮汐風は風速数十m/sに達し、6時間ごとに風向きが逆転していたのである。(下図参照)

 この観測結果は、流星の尾をレーダーで追跡する「電波流星法」と呼ばれる方法で得られたものである。小さい流星は、毎日非常にたくさん高層大気に降り注いでいる。その中のごく大きいものが「流星」として人問の目で見ることができる。しかし目に見えない流星も、通り路の空気を電離してイオンの柱(尾)を残す。流星が残した尾の中の自由電子とイオンは、周波数30メガヘルツ付近の電波信号を良く反射する。これらの反射信号の移動速度の測定から、高層で電離した流星の尾を吹き流している風の方向と速度を知ることができる。これは地上から、しかも昼夜を問わず連続的に行なえるので非常に便利な方法である。ただし、80km以下では十分な数の流星の尾がないし、105km以上では、流星の尾があまりに速く消えてしまうので測定にかからない。そのためこの方法で測定できるのは、高度約80〜105kmの間の風だけである。
 イングランドのジョドレル・バンクと、オーストラリアのアデレードにある電波施設による長期間の測定結果と、南極大陸のモーソンの二、三の測定とが、大気潮汐の研究に使われた。流星が頻繁に現われるような日には、20分ごとに平均風の測定が行なわれた。上図は、ジョドレル・バンクの上空80〜105km間の、1954年9月16日正午から17日正午までの風の変化の様子である。図には南から北へ吹く風の成分を示しており、各点はこの方向の一時間あたりの平均風速である。午後4時頃には風は北へ向かって20m/sの速さで吹いているが、6時間経った午後10時頃には、ほとんど同じ速さで南へ向かって吹いている。そしてさらに6時間経った午前4時頃には、再び北へ向かって吹いている。驚くべき事に、12時間周期での風速変化は40m/sに達する。(リチャード・A・クレーグ著 現代の科学26「宇宙空間の科学」河出書房新社 より)

(7)地球の振動(3次元の振動だから簡単ではない)

1960年5月22日に起こったチリ地震(モーメントマグニチュード9.5の観測史上最大の地震)の記録(カリフォルニア工科大学 ベニヨフ型伸縮計による)(竹内均「地震の科学」日本放送出版協会P50より)

上記地震記録から求めた、各振動周期の振動がどれくらいの強度で含まれているかを表す図。

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