以下は、マックス・ボルン、エミル・ウォルフ著「光学の原理T」付録Wからの引用です。δ関数は当HPでも何度か出現しましたし、今後さらに利用することが予想されますので、この関数の性質を確認しておきます。
[補足説明]
関数(3)の(2)式の形での積分値が 1 となることの証明は、別稿「マックスウェルの速度分布則1」2.(2)などを参照して下さい。
[補足説明]
(5)式をδ関数の“推移性”と言っているが、要するにf(x)に関数δ(x−a)を乗じて積分をすれば関数f(x)のx=aの位置の値が得られると言うことをいっているにすぎない。
(5)式に於いてa=0とすると
となるが、これはδ関数が、“クロネッカーのデルタ”
の自然な拡張に成っている事を示している。
また、(5’)式に於いて関数f(x)=1と見なせば、(5’)式は(1b)のδ関数の定義式そのものに帰着する。
[補足説明]
例えば(9)式について、δ関数を(3)式のμ→∞の場合で定義すれば、(3)式は“偶関数”だから(9)式が成り立つのは明らかですが、f(x)δ(-x) と f(x)δ(x) の積分を比較しても良い。
f(x)δ(-x) の積分は
であり、 f(x)δ(x)の積分は、(5)より
となる。両者の右辺が同じだから、(9)式が成り立つ。
[補足説明]
(11)式も下記の二つの積分を比較すれば証明できる。
[補足説明]
(15)式は、f(x)δ’(-x) と −f(x)δ(x) の積分を比較して証明する。
(16)式も同様に、xδ’(-x) と −δ(x) の積分を比較して証明する。最初の積分は部分積分を用いる。
[補足説明]
Fourierの積分定理とδ関数の関係に付いては、別稿「熱伝導方程式(拡散方程式)とその解法」3.(3)も参照されて下さい。
Fourierの積分定理、Fourier変換、Fourier級数、δ関数は、もともと熱伝導方程式(拡散方程式)の解法に関係して導入、発展してきた概念です。