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ナンバ走り3(コリンズ選手とザカリ選手の場合)

 2004年6月27日ゲーッヘッド(英国)で開催された国際陸連スーパーグランプリ大会で優勝したキム・コリンズ選手(セントクリストファー・ネビス出身、2003年パリ世界陸上1位)や6月29日ザグレブ(クロアチア)大会で優勝したザカリ選手(ガーナ)も別稿「ナンバ走り1」の中で説明した上体の揺り動かし(特に腹部から胸にかけての)を用いた効率的な走法を実行している。

本文中にリンクしてある動画はWindows標準のWMV8コーディックのファイルです。

(1)国際陸連スーパーグランプリ大会におけるCollins選手の走り(2004年6月27日英国ゲーッヘッド)

 第4レーン Collins選手(1位10秒21)  第8レーン Zakari選手(2位10秒29)  第3レーン 末續選手(4位10秒37)

1.オリジナル映像

 Collins選手も短距離選手としては175センチ、67キロの細身。自らをナチュラル・スプリンターと言い、筋力アップもしなければ、栄養食品も一切、補給しない。末續選手と同じような異色のアスリートで、自分より10キロ以上も重いほかの決勝進出選手を押さえて2003年8月のパリ世界陸上で優勝している。
 Collins選手も末續選手と同じように下半身の動きを妨げない上半身の動きをしており、これが上半身と下半身が一体となった伸びのあるフォームを生み出している。しかも肩の振りは末續選手よりより強力に行われており、そのため肩の前後の動きに加えて上下の動きがあり、腕の振りも末續選手より少し大きくなっている。さらに腰から肩までの上体部の左右の揺り動かしにより腰の水平ラインの動き(前記「ナンバ走り1(2)ナンバ走りのイメージ」参照)が引き出されているが、上体部と腰部の連携の仕方は末續選手とは微妙に異なっている。そのため、足先の前方への振り出しの形も異なっている。

 次のスローモーション映像で他の選手と比較してみると上半身とくに左右の両肩、両胸、左右の腹部が両脚の動きを引き出していることがわかる。上体が脚部の動きを妨げないだけではなく、さらに効果的に連動して前後の揺り動かしに促されるようにして下半身が動いているのが良く解る。特に左右腹部から両胸にかけての鋭く強烈な動きが腰から大腿部にかけての下半身の動きを強烈にサポートしてるのが解る。このあたりは末續選手より、さらに強力かつより効果的に作動している。そのあたりを次の映像で読み取ってほしい。

 さらに注目すべきは前記「ナンバ走り1(1)普通の走りのイメージ」で説明した旧タイプの走りでは腕の振りは上記の上体の動きを妨げるように動くのだか、Collins選手の腕の振りは上図の腹部から胸にかけての動きを助けるように動かされていることである。旧タイプの腕の振りではナンバの動きを妨げるのだが、Collins選手の腕の振りは明らかにナンバの上体の動きを増長させるようなタイミングで動かされている。この点に於いても末續選手より進化している。

2.スローモーション映像(1/5のスピード)

 映像を逆転させてみるとCollins選手も上半身、特に両肩を交互に揺り動かすことにより下半身の動きを助け、腰部の動きを引き出していることが明瞭に見て取れる。他の選手と比較して見て欲しい。

3.逆転スローモーション映像(1/2のスピード)

 

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(2)ザグレブ(クロアチア)大会におけるZakari選手の走り(2004年6月29日)

4.オリジナル映像   第5レーン Zakari選手(1位10秒18)   第3レーン 末續選手(2位10秒29)

 次のスローモーション映像で、Zakari選手もCollins、末續選手と同じように上半身特に腹部から両胸にかけてを揺り動かして伸びのある下半身の動きを引き出した二軸走法をしているのが見て取れる。さらに仔細に末續選手と比較すると腹部から左右の胸、肩にかけての部分はより強力に鋭く揺り動かされており、腰部の動きとの連携の形が末續選手と微妙に異なるのが解る。
 Zakari選手も腕の振りはナンバの動きを助けている。以前は大きく振るとナンバの動きを妨げてしまうように思っていた。そのため末續選手の様な腕の振りになると思っていた。しかしCollins、Zakari両選手は大きな腕の振りで、より効果的にナンバの上体の動きを引き出している。この腕の振りのタイミングは特に注目すべき点かもしれない。

5.スローモーション映像(1/5のスピード)

 次の逆転スローモーション映像からも上半身とくに左右の両肩、両胸、左右の腹部が両脚の動きを引き出していることがわかる。上体が脚部の動きを妨げないだけではなく、さらに効果的に連動して前後の揺り動かしに促されるようにして下半身が動いている

6.逆転スローモーション映像(1/2のスピード)

 以上の映像を仔細に分析してみると、世界のトップレベルの選手はナンバの動きの本質を自分の走法の中でさらに進化した形で実現しているのが解る。更に興味ある方は引き続いて「ナンバ走り4(アテネオリンピック出場選手の場合)」を御覧下さい。

 

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(3)映像ファイル一覧

 ダウンロードファイルの一覧です。いずれもWMA形式(MicrosoftWindows標準のWMA8 Codec で圧縮)してます。 同じファイルを何度もダウンロードしなくてすむように再利用可能な形で保存されてご覧になることをお勧めします。クリップへのリンク上で右クリック「対象をファイルに保存」を実行してファイル保存してからWindows Media Player などでご覧下さい。

該当ファイルの対応関係は以下の通りです。       ファイル名      サイズ

  1. オリジナル映像                     Collins1.wmv     3.2MB
  2. スローモーション映像(1/5のスピード)        Collins2.wmv    15.0MB
  3. 逆転スローモーション映像(1/2のスピード)     Collins3.wmv     6.2MB
  4. オリジナル映像                     Zakari1.wmv     4.2MB
  5. スローモーション映像(1/5のスピード)        Zakari2.wmv     20.3MB
  6. 逆転スローモーション映像(1/2のスピード)     Zakari3.wmv      8.3MB

 もっと解像度の良いAVI形式ファイルもありますがダウンロードに時間がかかるために公開していません。ご入り用ならご連絡下さい。(2013年8月5日)

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