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pH指示薬

酸・塩基で重要な働きをするpH指示薬のメカニズムを平衡定数をもちいて説明します。

1. pH指示薬とは

 pH指示薬はそれ自身が水素イオンHと反応する有機化合物の弱酸や弱塩基である。Hと結合しているか離してしているかによって可視光線の吸収が大きく変化するものが指示薬として優れている。ベンゼン環単独での吸収波長は紫外線の領域であるがベンゼン環が幾つか連なった有機化合物には電子の共鳴周波数が下がり可視光の領域に吸収波長を持つものが出てくる。多くの色素化合物と言われるものがそのような構造をしている。ベンゼン環が連なって電子が動き回れる領域が広がれば共鳴の周波数が下がるのは、弦の振動、気柱の共鳴で弦や気柱の長さが長くなれば共鳴振動数が下がるのと同じである。

指示薬の色と吸収スペクトルとの関係は別稿「光と絵の具の三原色」を参照。

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2. pHを指示するメカニズム

今仮に平衡定数K=10-9mol/lのpH指示薬HAがあったとする。つまり

いまHAを0.001mol/lの濃度で溶かしている水溶液に酸や塩基を加えてpHを変えていく。各pHでK=10-9mol/lを満たすためには[HA]対[A]は幾らになるべきかを考えてみる。(詳しい考察は別稿「酸・塩基と平衡定数」の弱酸、弱塩基の中和滴定の項目を参照)

 つまりpH指示薬のHA自身が弱い酸や塩基だといっても解離度αが小さいわけではない。水溶液中の[H]濃度により[HA]:[A]の存在は(無限大:0)から(0:無限大)まで大きく変化する。特にHAのpK=-log10K(今の例ではpK=9)を中心とするpH=±1の範囲で[HA]:[A]の比率は10:1から1:10まで大きく変化する。故にpH=pKを中心にしてpH変化が±1の範囲で色の変化が生じる。
 pH指示薬自身もある種の酸や塩基だから、指示薬を加えることにより溶液の[H]濃度は多少とも変化する。だから指示薬の添加量は微量にとどめなければならない。

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3. おもなpH指示薬

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