(58)式
を証明をします。
本文[補足説明3]の図
を参考にされながら以下の説明をお読み下さい。
[証明の前半]
証明の要諦は下図のF点とH点がケプラー補助円上の点となることです。[拡大図]
上図は真(実)楕円軌道面における楕円焦点(A,B)と遠地点・近地点(D,C)の間に成り立つ関係を示しています。例として“離心率”が e=0.9,0.7,0.5 の場合で、しかも“近星点経度”が ω=30°,60°の場合を示しています。離心率と近星点経度が変化すると図形がどの様に変化するかに着目して下さい。
これらの図から、二つの焦点(A,B)を通る縦線(地球からの視線方向を含む面で切った切り口線EF,GH)と近地点C・遠地点Dの接線(天球面あるいは視楕円面に平行な線EH,FG)の交点F,Hは“ケプラー補助円”に乗ることが予想される。このことをまず証明します。
証明には
と
が成り立つことを用います。
@,A式が成り立つことはA点とB点が楕円の焦点であり、C点とD点が楕円上の点である事から楕円の性質より明らかです。
またB式が成り立つことは、近地点Cと遠地点Dに対する方向余弦について
が成り立つことから解ります(D式は本文[補足説明2]で証明済み)。すなわち、線分ADの方向角度(v+ω)と線分ACの方向角度(v+ω)に対して、D式の右辺と左辺のωが共通だからです。
また図形の対称性からB式が成り立てばC式も成り立つ事は明らかです。
図形の対称性とB,C式、及び@,A式から
が言えます。故にF点とH点はケプラー補助円上の点である事が言える。
[前半証明終わり]
[証明の後半]
準備が終わったので証明の後半にはいる。
まず前記D式は真(実)楕円面上で成り立つ式だから、最初の図に於いてB,C式と図形の対称性から
つまり、すべての三角形が互いに相似です。
そのため、すべての三角形の三辺の長さの比にD式を適用すると、
となる。このとき各直角三角形に於いて
である事を利用した。
そのため、最終的に三角形FEHの各辺の長さに対して、FHがケプラー補助円の直径2aである事から
が言えます。ここで、最初に上げた参照図から [線分FEの長さ]=(Z2+Z1)/sin i ですから次式
が成り立つ。ただし i は“軌道面傾斜角”(実軌道面と天球面とのなす角)です。
一方、同じ図上の三角形AOPに着目したとき、楕円の離心率をeとすると、AOはa・eとなります。
ここで ∠POA=ω だから、AN=2・AP=2・a・e・sinω となります。ところで、最初に上げた参照図から [線分ANの長さ]=(Z2−Z1)/sin i ですから次式
が成り立つ。
E式とF式の辺々を割り算すると(58)式が得られる。
[証明終わり]