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ブルースター角(偏光角)

 ブルースター角(偏光角とも言う)とは反射光線と屈折光線が直角を成すときの入射角θBのこと

 今媒質1から媒質2へブルースター角θBで入射したとする。そのとき媒質1、2の絶対屈折率をn1、n2、光速度をq1、q2そして入射側媒質1に対する透過側媒質2の相対屈折率をn12とすると tanθB=n2/n1=q1/q2=n12 の関係が成り立つ。

[証明]

[証明終わり]

 透明体表面に自然光がブルースター角で入射すると、反射光が入射面に垂直な電場ベクトルをもつ直線偏光成分だけになる。電場ベクトルの振動方向が入射面に平行な成分は完全に透過し、また反射光と屈折光のなす角は直角になる。
 つまり、ブルースター角で入射した場合、光線中の電場ベクトルの振動方向が入射面に平行な偏光成分はすべて媒質2に透過して反射光は存在しない。一方振動方向が入射面に垂直な偏光成分は一部が媒質1へ反射し一部が媒質2へ透過して、反射光と屈折光の両方が生じる。

 上記の関係は1815年にブルースターにより見いだされた。このような事情が生じる理由は、光は物質中の電荷を振動させ、その振動する電荷が放出する電波(光)が反射光となるからである。そのとき反射角の方向に関して境界面の様々な場所の電荷から出る二次的な電波(光)の位相がそろい、ホイヘンスの原理で習うようにその方向の電波(光)が強められるのだ。
 振動電荷から放出される電波は振動方向に垂直な面が一番強く、しかも電場の振動方向は電荷の振動方向に偏っている。その面から離れるに連れて放射される電波(光)は弱くなり、電荷振動の軸方向には電波は出ない。そのため反射光は入射面に垂直に偏ることになる。[詳しい説明は別稿「線形振動子(電気双極子)による電磁波の放出」2.(3)参照。]

ブルースター角に関して、さらに次の性質が成り立つ。

 下左図のように、媒質1から媒質2へ向かって光線がブルースター角で入射しているとする。
 そのとき、下左図の入射光線と屈折光線を境界面に垂直な面で左右を反転させると下右図の媒質2から媒質1へ入射する光線の経路になる。そのとき媒質2から媒質1へ侵入する屈折光線は下左図の反射光線の方向(1)と一致し、媒質2へ反射されて戻る光線の方向は下左図の屈折光線の方向と一致することがわかる。そのため下右図もブルースター角で入射していることになる。
 つまり、(2)の方向から入射して(1)の方向へ反射する光線がブルースター角での入射なら、同じ(1)の方向へ屈折光線が進む入射光線(3)もブルースター角で入射している

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