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導体のまわりの電界と電位

.導体中の電界と電位

導体に電流が流れて居らず、すべての電荷が静止している場合以下の事柄が言える。

  1. 導体内部には電界がない。当然電気力線も存在しない。もし電界があると、導体内部のキャリアが電気力を受けて動き、電流が生じるから。
  2. 導体全体が帯電したり、静電誘導が生じている場合電荷は導体の表面だけに分布し導体内部には電荷はない。なぜなら電荷にはその電気量に比例した電気力線が出入りする(ガウスの定理)ので電気力線が全くないところには電荷はありえない。
  3. ひと続きの導体すべての場所で電位は同じ値であり、導体表面は等電位面になる。なぜなら電界がゼロの所では場所が変わっても電位は変化しないから。

〔別な展開のしかた〕

  1. 導体内に正または負の電荷がいくらか与えられたとする。同符号の電荷同士はは反発して互いに離れていく。この電荷の移動はすべての電荷が導体の表面に到達し導体内部の電荷がゼロになるまで続く。すなはち静電状態では導体内に電荷は存在しない。電荷は導体表面のみに存在する。
  2. 導体内部に電荷は存在しないのだから導体内部の任意の閉局面についてガウスの定理を適用すれば任意の閉局面上で電界和がゼロだから、結局至るところ電界もゼロであることが言える。故に導体内に電気力線は存在しない。
  3. 導体表面で表面に平行な電界の成分はない。もしそのような電界が存在したら表面にある電荷は力を受けて移動するから静電状態ではなくなる。故に静電状態では導体表面での電界は表面に垂直である。つまり導体表面は一つの等電位面になる。

  

  1. 上記3.やC.の結論から導体に出入りする電気力線は導体表面に垂直であり、かつまたガウスの定理より単位面積あたりの電気力線の本数は表面電荷の面密度に比例する。つまり表面の電場強度は表面電荷の面密度に比例する
  2. とがったところほど表面の電荷密度は大きくなり、表面の電界強度も大きくなる(3.で説明)。→コロナ放電、ブラッシュ放電(セントエルモの火)、避雷針
  3. 導体に帯電体を近づけると、導体内に生じる電界をうち消すように瞬時に電荷が分布し直しどう体内の電界はゼロになり等電位が実現される。→静電シールド

(注意)電荷が動いている場合は導体内部にも電位差も電界も生じる。

.導体球の表面電位

.尖ったところに電荷は集まり電場強度が大きくなる

 このことは結局“曲率半径”が小さいと同種電荷同士の反発力が小さくなることによります。このことは下図をご検討頂ければ了解して頂けます。金属面から飛び出すためにはかなりのエネルギー障壁を越えなければならない。その障壁故に曲率半径が小さい場所に電荷はより密に分布できます。

 この事実を先ほどの図の導体球Aと導体球Bに適用しますと、導体球Aと導体球Bでは導体球Aの方がその表面電荷密度σはより大きくなります。
 所で導体球表面の電界強度(電場強度)Eは表面電荷密度σに比例しますから、導体球Aと導体球Bでは、互いの表面電位は同じでも表面電界強度は導体球Aの方が大きくなります。
 つまり、同じ空間距離でも導体球Aの外部空間の電位差が導体球Bの外部空間の電位差よりもより大きくなります。そのため導体球Aの表面での放電破壊が生じやすくなります。これが尖った金属先端から火花放電が生じやすい理由であり、また尖った部分に雷が落ちやすく、落雷を誘導しやすくなる理由です。

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