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人類進化の系統樹

人類進化の系統樹を最近の本から幾つか引用する。

 以下の図はマイク・モーウッド、ペニーヴァン・オオステルチィ著「ホモ・フロレシエンシス(上)(下)」日本放送協会 に掲載された馬場悠男氏の解説記事から引用

以下の図は最近有力視されている「出アフリカ説」に基づく人類の拡散図

 化石人類の系統分類も1980年代における分子遺伝学の成果による類人猿系統樹の確立いらい新しい知見が次々と付け加えられてきている。
 現世人類とネアンデルタール人との関係においても、遺跡に残された遺物の考古学的研究や遺骨の解剖学的な研究からは、、その間の混血があったのかどうかを含めて、いまだに混沌が続いているが、遺伝子解析から次々と信頼できる証拠が集まりつつある。
 スバンテ・ペーボらはネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの解析(1997年)、さらに現在進められている3万8000年前の遺骨から得られた遺伝子の解読から、ネアンデルタール人が現世人類と別れたのは60〜70万年前らしい事を明らかにした。この分岐年代は現世人類の中で最も古いと考えられているアフリカのグループからの分岐年代(20万年前)よりもはるかに古く、ネアンデルタール人は現世人類と別れて進化して絶滅(28000年前)した種であることを強く示唆する。これは単一起源説を強く支持する結果である。

[2015/12/11追記]
  スヴァンテ・ペーボ著(野中香方子訳)「ネアンデルタール人は私たちと交配した」文藝春秋社(2015年刊)
原題「Neanderthal Man In Search of Lost Genomes」はとても面白い。上記で説明した遺伝子解析による最新の知見のペーポによる解説本です。遺伝子解析技術の進歩にも目を見張るものがありますが、それよりも過去の遺物からのDNAの抽出の難しさに付いての説明が特に興味深い。
 更に興味深いのはネアンデルタール人のゲノムデータを使って(コーリー・マクリーンのピーナイル・スパイン遺伝子や、ピーターパラムのMHC遺伝子や、トニー・モナコのFOXP2遺伝子など)次々と新しい事実が明らかになる事です。

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