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運動の法則、運動量保存則、エネルギー保存則の関係
1.簡単な説明
[運動の法則]と[運動量保存則]と[エネルギー保存則]はいずれも同等な内容を別な形で表しているにすぎない。その当たりの関係を図で説明する。

次に、上図を読み解く為の注意を述べる。
- エネルギー保存則を考えるときには系というものが重要になる。エネルギー保存則を考える系の中には様々な物体や場が存在して、それらは互いに力を及ぼし合う。そのとき系内にどのような物体や場が存在しようと、又どのような力を及ぼし合おうと、系内の内力に関しては常に作用反作用の法則が成り立ち系内に正の仕事をされた物があれば、必ず負の仕事をされた物がある。だから外界からの仕事がなければ系内の物体どうしの相互作用では系全体が持つエネルギーの総和は変化しない。
- 総和が変化しなしのなら、系の様々な状況下で各構成要素が持つエネルギーをすべて洗い出して書き出すことができれば、それらの合計は系内の状況がどのように変化しても不変である。これこそがエネルギー保存則である。つまりエネルギー保存則とは運動の第三法則(作用反作用の法則)と第二法則(運動の法則)の別表現である。これは運動量保存則が運動の第三法則(作用反作用の法則)と第二法則(運動の法則)の別表現であったのと同様である。
- 個々の系について運動量保存則が成立することは作用反作用の法則と第二法則(運動の法則)を用いて証明できる。同様に力学的エネルギー保存則が成り立つことは、個々の系について作用反作用の法則と第二法則を用いて証明できる。その証明は簡単な場合もあれば、高校生には難しい場合もある。
- エネルギー保存則で注意しなければならないのは、エネルギー保存則のエネルギーにはさまざまな形があることです。力学的エネルギー以外にも熱エネルギー、電気エネルギー、化学エネルギー、等々・・・・・がある。エネルギー保存則を用いる場合には、系の中で力学的エネルギー以外のエネルギーに変化してしまうような現象が生じていないか注意しておかねばならない。もしそのような現象が生じていたら力学的エネルギーの収支決算だけを考えてもエネルギー保存則は成り立たない。エネルギー保存則をもっと一般的なエネルギー形体も含むように拡張しなければならない。
このことは運動量保存則についても言える。エネルギーと同じように、運動量についても力学的運動量mv以外の様々な形態があり、それらも含んだ形に拡張しなければならない。
- 作用反作用の法則と運動の第二法則を用いて解くよりも運動量保存則を用いて解いた方がはるかに簡単になる場合があったように、力学的エネルギー保存則を用いて解くと非常に簡単になる問題もある。これらの保存則は時と場合に応じて上手に使えばよい。
「仕事とエネルギー」3.(3)と「エネルギー保存則の証明」の計算を比較してみられたし。
2.解析力学による説明(2019年11月追記)

E. Noether, “Invariante Variationsprobleme”, Nachr. Ges. Wiss. Gottingen, p235〜257(1918年)
英訳版pdfはこちらです。またGoog翻訳による邦訳版はこちらです。
原論文および、その英訳版は下記URLからダウンロードできます。
http://cwp.library.ucla.edu/articles/noether.trans/emmymort2.html
[補足説明]
上記の一般相対性理論とネーターの定理との関係に付いては別稿のPaisの解説(p359〜362)や松原隆彦の解説(p26〜27)を参照。
(1)エネルギー保存則

上記別稿「ルジャンドル変換とは何か」5.はこちらを参照。

【同次関数におけるオイラーの定理】に付いての補足。

(2)運動量保存則


(3)角運動量保存則




上記の「ベクトルの内積と外積」2.(5)3.はこちらを参照。
