1.三種の場
(1) スカラー場・ベクトル場・テンソル場
(2) スカラーとベクトルの“積”, ベクトルとベクトルの“内積(スカラー積)”
(3) ベクトルとベクトルの“外積(ベクトル積)”
2. grad φ = ∇φ
(1) ∇φ に付いて
(2) “渦無しの場” で成り立つ 〔定理1〕 の証明
(3) “渦無しの場” 〔定理1〕
3. div V = ∇・V
(1) ベクトル束(flux)
(2) 〔Gaussの定理〕
(3) 発散(湧き出し)の強さ と “発散の無い場”
4. rot V = ∇×V
(1) 〔Stokesの定理〕
(2) 〔定理1〕→〔定理1’〕
(3) 〔定理2〕
5.ベクトル解析の基本定理〔ヘルムホルツの定理〕
(1) 〔Greenの定理〕
(2) 〔Helmholtzの定理〕
以下で導入する “内積(スカラー積)” については。江沢洋「現代物理学」第1章 力学的な世界観 11.2.や、「ベクトルの内積(スカラー積)と外積(ベクトル積)の成分表示」1.も参照されたし。
下記で導入する 外積(ベクトル積) については。江沢洋「現代物理学」第1章 力学的な世界観 12.2.や、「ベクトルの内積(スカラー積)と外積(ベクトル積)の成分表示」2.も参照されたし。
上記の〔定理1〕 に付いては、4.(2)の〔定理1’〕を参照されたし。
Gaussの定理 に付いては、別稿「グリーンの定理[積分定理の王]」1.を参照されたし。
Stokesの定理 に付いては、別稿「グリーンの定理[積分定理の王]」2.を参照されたし。
(26)式に付いての下記の事柄は 1.(3) 外積(ベクトル積)の項ですでに説明した。
上で述べた様に(26)式の右辺の被積分函数は 2階反対称テンソル ですが、普通 3次元ベクトル として取り扱う。
下記の〔定理1’〕 に付いては、 5.ベクトル解析の基本定理[ヘルムホルツの定理] も参照されたし。
注2) の詳細はこちらを参照されたし。
下記の〔定理2〕 に付いては、 5.ベクトル解析の基本定理[ヘルムホルツの定理] も参照されたし。
注2) の詳細はこちらを参照されたし。
本節で、数理物理学における大定理であるグリーン(Green)の定理を紹介する。
この定理は本文が72ページある大論文[G. Green, An Essay on the Application of Mathematical Analysis to the Theories of Electricity and Magnetism, Nottingham, 1828]の中で証明された。
これはグリーンによって考えられたポテンシャル論で中心的な働きをする。また流体力学、電磁気学、光学において不可欠のものである。また純粋数学においても大へん有用で、リーマンはその複素関数の理論で(二次元に特化した)グリーンの定理を基礎とした。また変分法、固有関数、積分方程式など至る所でこの定理に出会う。
また、次節で説明する ベクトル解析の基本定理〔ヘルムホルツの定理〕 の証明に用いる。
〔Greenの定理〕
一つの閉曲面Sで囲まれた領域をVを考える。今SおよびVの任意の点(x,y,z)で定義されかつ微分可能な二つのスカラー関数Φ(x,y,z)とΨ(x,y,z)を考える。ΦとΨはSおよびVの内部の至る所で第二次偏微分が存在し、第一次偏微分が連続であるとする。そうすると
が成り立つ。ここで、Sの面積素片をdS、Vの体積素片をdV、S上の任意点の外向き法線をnとしている。
この定理の証明は、別稿「グリーンの定理[積分定理の王]」3. を参照されたし。
前章の4.(2)と、4.(3)で説明したように、渦無しのベクトル場V1と発散の無いベクトル場V2は互いに密接に関連していたのですが、渦無しのベクトル場V1と発散の無いベクトル場V2に対して、次に述べる “ベクトル解析における基本定理” が成り立つことが数学的に証明される。
ベクトル解析の基本定理〔ヘルムホルツの定理〕
連続な無限空間で定義され、無限遠においてその値が1/r2程度でゼロになる 任意のベクトル場 V は、渦無しの場 V1 と 発散の無い場 V1 の和で表すことができる。
これはまた、ベクトル場Vの大きさの変化の様子が 発散m を決め、ベクトル場Vの曲がり具合(回転)の変化の様子が 渦度ζ を決める。そして、逆にあらゆる場所の 発散m と 渦度ζ の値が与えられたらなば ベクトル場V は完全に決定できると言うことを意味している。
この定理の証明は、前節で説明した〔Greenの定理〕を用いてなされる。その証明の詳細は、別稿「カルマン渦列(動的安定性解析)」2.(3)[ヘルムホルツの定理] を参照されたし。
この定理は、ストークスの流体力学に関する大論文[G.G.Stokes, “On the dynamical theory of diffraction”, Transactions of the Cambridge Philosophical Society vol.9, p1-62 (1849),または Mathematical and Physical Papers, Vol. II, p243-328.特にp254-257 (Cambridge University Press, 1883)これはGoogleBooksからダウンロードできます]で最初に証明された。
また後に、ヘルムホルツは渦の運動に関する論文[H.Helmholtz, “U¨ber Integrale der hydrodynamischen Gleichungen, welche den Wirbelbewegungen entsprechen”, Journal fu¨r die reine und angewandte Mathtmatik, vol.55, p25-55, 1858(これはGoogleBooksからダウンロードできます)]でより完全な形で与え、渦理論の基礎とした。そのため、この基本定理を “ヘルムホルツの定理” と言うこともある。
これらの定理を含めて、流体力学で開発された様々な数学的テクニックは電磁気学の研究と相補いながら発展するのですが、電磁気学の構築(ちなみにマクスウェル”Treatise”の出版は1873年)においても絶大な威力を発揮する。